ここ数年、いやこの1年くらいのAI技術の進化は目覚ましいものがあり、その中でもOpenAIが開発したChatGPTは、すさまじいインパクトを世の中に与えています。
少しTwitterで調べてみれば、
- ChatGPTで世界が変わる
- ChatGPTがあればこの職業はなくなる
こんな論調のツイートがごまんと出てきます
しかし、一部の人々は実際にChatGPTを使ってみたうえで、「ChatGPTはそんなにすごくない」と感じているようです。なぜそう感じるのでしょうか?
ChatGPTの得意なことと限界
ChatGPTの能力、得意なことと、その限界を整理してみましょう。
ChatGPTは、大量のテキストデータから学習して、人間のように自然な会話を作り出すことが得意です。
例えば、あなたが「今日の天気は?」と聞けば、「晴れです」と答えてくれます。まるで人間と話しているかのように会話ができるわけです。
これは、ものすごくかみ砕いて言えば、
「今日の天気は?」「晴れです」
「今日の天気は?」「曇ってて雨が降りそうだよ」
といった会話のパターンを大量に学習していて、「こう聞かれたらこう答えるのが自然」という感じの会話をしているわけです。
そしてChatGPTには重大な限界、苦手なことがあります。
それは新しい情報を自分で学習する能力がないということです。
具体的にはChatGPTが学習した情報は2021年までのもので、それ以降の情報については知ることができません。
だから、2023年の最新のニュースやトレンドについては答えることができません。
また、ChatGPTは人間のように感情を持つことができません。
だから、「あなたはどう思いますか?」と聞かれても、自分の意見や感情を表現することはできません。
要するにChatGPTは、会話についてはいかにもそれらしい返答をしてくれるAI、ということです
(ここは語弊があると思うけどあえてこういう表現にしています)
こうした「それらしい返答」の中に、2021年までの学習データに基づく事実が含まれていたりすることがあれば、何かしらの演算に基づく解が含まれることもあります。
カウンセリングなどの答えのない質問に対して、適切な回答をすることもあります。
けれど、逆にがっかりするような答えが返ってきたり、「それっぽいだけの嘘」が紛れていることもあります。
ためしに「2022年に公開された劇場アニメのおすすめを3つ教えて」と聞いてみた結果が以下です。
私の情報は2021年9月までしか更新されていませんので、具体的な2022年の劇場アニメの推奨は提供できません。それでも、2021年までの傾向に基づく一般的な推奨を提供できます。
“鬼滅の刃”シリーズ: 2021年の”鬼滅の刃 無限列車編”が大ヒットした後、2022年にも引き続きシリーズの新作が公開される可能性があります。鬼滅の刃のファンであれば、2022年の新作も楽しみにすることをおすすめします。
“ジブリ”作品: 宮崎駿や高畑勲など、ジブリの監督たちによる作品は、新作が公開されるたびに世界中で大いに期待されます。2022年には新たなジブリ作品が公開される可能性もあります。
“君の名は。”や”天気の子”のような新海誠監督の最新作: 新海誠監督の作品はビジュアルとストーリーテリングの両方で評価が高く、新作が公開されるとすぐに人気を博します。新作が2022年に公開される場合、それは間違いなく注目すべき作品となるでしょう。
最新の情報を入手するためには、評判の良い映画評論サイトやアニメ情報サイトをチェックすることをおすすめします。そして、ご自身の興味や好みに合わせて最適なアニメ映画を選んでください。
会話としては成り立っていますが、回答としては非常に残念なものですね。
これを見ると、「なーんだ、こんなもんか」と思ってしまうのも無理はない、と思います。
僕らはChatGPTにドラえもんを期待してしまう
「ChatGPTはすごくない」と感じてしまうのは、僕らがAIに対して過度な期待を持ってしまうからかもしれません。
我々は、AIが人間と同じように思考し、感じ、行動することを期待してしまうことがあります。しかし、現状のAIはまだそのレベルには達していません。
そして日本人にとってのAI像は少し独特なのではないか、とも思います。
これには、鉄腕アトムやドラえもんのイメージがどうしても背景にいるように思えてならないのです。
人間のように思考し、状況判断をしながら、最適解を提示してくれる存在。
全知全能、、とはいかなくてもそれに近い存在。
だからこそ、何か難しい質問をしてもバシッと最適解を導き出してくれるんじゃないか、と期待値を上げすぎた結果、その返答にがっかりしてしまうということもあるんだと思います
まとめ
個人的にはChatGPTはすごいものだと思っています。
が、それはChatGPTの特性をちゃんと把握し、正しく使った場合です。
ChatGPTに限らず、AIは万能ではないし、基本的には学習したデータから何かを作り出しているものが多く、本当の意味で創造的なものはまだまだだと思います。
ChatGPTすごくないよね、と思う方の気持ちもよくわかるんですよね。
しかし、用途をちゃんと限定して、使い方自体を最適化すれば、とんでもない作業の効率化を行うことができる可能性を含むものでもあると思います。
「なんにでも使えて万能!」という態度でもなく、「所詮はAI、まだまだ使い物になんねえ」という態度でもなく、得意不得意を見極めて使いこなしていきたいなと感じる次第です。
最後に、個人的には、一部の人が断定口調で「これで世界が変わるぜ!!!」と大声でツイートしてるのも、ChatGPTに対する期待値を無意味に上げてしまっている原因だと思うんですよねえ。
こういう断定的な表現とか、大げさな表現に踊らされないよう、僕ら自身が気を付ける必要があると思います。