システムエンジニアになるなら客先常駐は避けよう。元SEが教えるメリットデメリット

駒鳥です。

今月、興味深いニュースがありました。

富士通、SEの客先常駐を見直し 人材確保へ慣習崩す
富士通はシステムエンジニア(SE)で一般的だった、顧客先に常駐する働き方を見直す。新型コロナウイルスの流行で「3密」になりやすい就労環境を改善し、テレワークへの移行を進める。日本IBMも在宅勤務向け

大手ベンダーである富士通が、SE(システムエンジニア)の客先常駐を見直すというのです。
前職、いわゆるSIerのような働き方をしており、富士通さんとも一緒にお仕事をしたこともある僕としては、結構な驚きです。
大手である富士通が、客先常駐を見直す、ということの意味は大きくて、今後他社も追従するかもしれません。

客先常駐という、システムエンジニア界隈では珍しくない働き方は、個人的にはオススメできないものです。
システムエンジニアとして働く際、避けられるのであれば、避けた方が良いです。

同じように考える人が多くなり、今回の富士通の件のような流れにつながってきているのだと思います。

このエントリーでは、元SEとして、複数の会社に常駐したことのある立場から、なぜ客先常駐がオススメできないのか、メリットデメリットは何なのかを解説していきます。

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客先常駐することのデメリット

冒頭に記載した通り、客先常駐はオススメできません。
基本的にデメリットが大きすぎる、というのがその理由です。

メリットも、あるにはあります。
ただ、メリットとデメリットを秤にかけた時に、圧倒的にデメリットの方が大きいよなあ、と感じてしまうのです。

具体的には、以下の要素が客先常駐のデメリットとして挙げられると思います。

  • スキルアップできない
  • 帰属意識が得られない

順に見ていきましょう。

客先常駐では、スキルアップできない

多くの場合、客先常駐の働き方では、スキルアップができません
これがエンジニアにとっては結構致命的。

客先常駐する際の業務内容、大きく二つに分けられます。
1つが、開発系の案件に携わる業務。もう1つが、運用系の業務です。

開発系の業務の場合、例えば基幹システムを構築したり、リプレースしたりすることになります。
この際の技術要素は、ある程度実績のあるものが採用され、開発手法も、これまでよく使われている手法、例えばウォーターフォールでの開発が採用されたりします。

このパターンでは、新しい技術を取り入れたり、技術的な挑戦を、SE一人一人の単位で実行する隙がなくなります

上流工程から案件に参画できれば、まだ色々とチャンスを仕掛ける余地があるかもしれません。
しかし、下流工程だけの参画、というパターンも決して珍しくなく、その場合は、方法論も技術要素、フレームワークも決められた状態で、決まった作業をただこなすだけになってしまいます。

それが、初めて触る技術だったりすればまだいいのですが、先述の通り多くの現場では、すでに実績のある手法が取られることが多く、必然的に同じような開発作業をなんども繰り返すことになるのです。

開発系の案件でなく、運用の業務が割り当てられてしまうともっとひどく、すでに定められた運用手順に則って淡々と運用業務をこなすだけとなります。
開発と呼べる作業も、不具合の修正のようなちょっとしたものがメインとなり、経験を積むことができません。

帰属意識が得られない

もう1つのデメリットは、帰属意識が得られない、という点です。
客先常駐という働き方は、その名の通り、クライアントのオフィスに通い、そこで業務をすることを指しています。

当然、クライアントの就業規則に則って働くことになります。
クライアントによって勤務時間が違うのは当たり前で、色々な会社に派遣される度に、生活サイクル自体が変わってきます。

また業務の中で、クライアント企業のメンバーとして振る舞う、ということもあります。
例えば、導入しているツールについて問い合わせを行ったりする場合です。

さらに、基本的に客先でしか働かないので、自社のメンバーと顔をあわせることもあまりありません。
新卒で入社して見たらすぐに現場に飛ばされ、気がついたら同期が退職していた、というのはよくある話です。

案件が変わると一緒に働く人も変わったりするので、結構孤独だったりします。
ついでに言うと、クライアントによっては、結構な地雷に当たることもあります。

【SIerの闇】SE自体に体験した闇が深い案件、つらかった案件の体験談
駒鳥です。 僕は前職が、いわゆるSE/SIer(システム・インテグレーター)でした。 正確にいうと、SE/SIerの下請け的に動いていたソフトハウスに勤めていて、下流工程、実際のプログラミングやテストの実施を行なっていました。 ...

こうした働き方をしていると、自分がどの会社の人間なのか、わからなくなってきます。
会社に対する帰属意識がなくなってくるのです。

これは、あまり重要ではないポイントのように聞こえますが、実はそうでありません。
帰属意識というのは、仕事をする上でのモチベーションにも関わってきます。

自分がどの会社の人間なのかわからなくなると、そのうち、なんのために働いているのかもよくわからなくなってきます
意欲がなくなり、ただ淡々と案件や運用をこなすだけで、成長できなくなってしまうのです。

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SEが客先常駐することで得られるメリット

さて、ここまで客先常駐と言う働き方のデメリットをまとめましたが、ここでメリットも考えてみましょう。
デメリットに比べると小さなものですが、それでも得られるメリットは確かに存在します。

リアルな運用の現場や、会社の業務を知ることができる

客先常駐することの最も大きなメリットは、様々な企業の内側から、リアルな運用の現場を知ることができる、と言うことです。

多くの会社が、社内のシステムを構築し、色々なツールを使って業務を回しています。
その業務が実際のところどんなものなのか、どんな課題を抱えているのかを実際に見比べられる機会は、そうそう得られないものです。

また、現場が抱えている課題は、その企業の業務内容に根ざしているものだったり、色々な事情が入り組んだ泥臭いものだったりします。
そしてそれらの課題は、根本では似たものだったりするのです。

色々なクライアントの業務の現場を直に見る事でそうした気づきを得られれば、自身のキャリアアップにも活かすことができるでしょう。

また、それぞれの会社がどんなビジネスをしていて、それがどういう業務につながっているのかを知ることもできます。
社員の働き方に対してどういう配慮をしている・していないのかや、どんなオフィス環境の作り方をしているのか、福利厚生はどんなものがあるか、など、その会社のリアルを知れる機会はそうありません。

僕自身も、「この会社いいな!」と思うこともあれば、「こういう会社では働きたく無いなあ」と感じることもあったりして、そうした視点はのちの転職の際、会社を選ぶときに役立ちました。

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新卒で客先常駐することになったら

新卒で客先常駐をすることについても書いておきたいと思います。

僕自身は大学卒業後、新卒で客先常駐を体験しました。
今は転職をして、自分の会社で働き、WEB開発やらマネジメントやらをしています。

今、当時を振り返って、新卒で客先常駐することについて思うことは、

新卒では客先常駐の仕事はやらない方が良い

ということです。

その理由は、デメリットであげたスキルアップできない、というのが最も大きいです。
吸収し放題の新卒というタイミングで、スキルアップできない働き方をしてしまうというのはとても不幸なことだと思います。

そもそも新卒であれば、まだ技術面でも業務面でも自分の力で活躍することが難しいですよね。
結果として、淡々とできる作業をこなす要員としてあてがわれてしまい、ひたすらExcelでドキュメントを作ったりすることになったりしまいます。
そうなってしまうと最悪ですよね。

訳も分からないまま、ただ決められたことをこなしていく、というのはしんどいものがあります。
そうしてしんどい業務をこなした結果、自社開発でゴリゴリ開発しているエンジニアと技術的にも差がついてしまうのです。

なぜSEやSIerの仕事にはExcelでの作業ばかりなのか。Excel職人と言われる理由。 | 駒鳥帳
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それでもとりあえず働ければOKというのであればいいですが、スキルアップ、キャリアアップをしたいと考えているのであれば、客先常駐という働き方は決してお勧めできません。
やめた方が良いでしょう。

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withコロナ、afterコロナの時代の客先常駐のあり方

さて、ここまで客先常駐という働き方のメリットとデメリットを整理してきましたが、もう1つ大事な要素があります。

新型コロナウィルスの蔓延によって、働き方が変わってきている、という点です。
今回、富士通が客先常駐スタイルを見直す、という方針をとったのも、これが影響しているでしょう。

テレワーク・時差出勤が推奨されるwithコロナの世界において、客先常駐ほど時代錯誤な働き方はありません
派遣元企業も社員を守るのが難しいですし、常駐される側の企業も、自社社員を守るためには常駐の人数を減らしたい、と考えるようになるでしょう。

ただ、すでに決まった運用、決まったシステムを利用している状態で、突然やり方を帰るのは簡単ではありません。
客先常駐という働き方はすぐにはなくならず、しかし少しずつ、確実に減ってくると思います。

ITベンダーやSier、ソフトハウスも、働き方の変革を行わなければならないタイミングに来ています。

働く一人一人も、どういう働き方が良いのか、改めて考えてみると良いのだと思います。

それでは。

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